1:名無しさん@涙目です。(神奈川県):2011/11/21(月) 21:39:14.95 ID:3RtOZg3y0

『「TPP開国論」のウソ』のウソ
池田信夫/アゴラ

本書で間違いを探すのは容易で、正しい記述をさがすのがむずかしい。
著者が3人とも、根本的な勘違いにもとづいて本を書いているからだ。

たとえば三橋貴明氏は、比較優位の原理を否定して「自由貿易でデフレが起こる」と主張する:
デフレの時にTPPに参加してはいけない理由は、自由貿易がインフレ対策だからです。
  [・・・]リカードの時代はずっとインフレ傾向でしたら、モノの消費が増えればよかった。
  しかしデフレの時に自由貿易を進めれば、物価はさらに下がります。(本書p.36)

自由貿易がインフレ対策だという話は、リカードもびっくりの珍説だ。
同様の記述は中野剛志氏も繰り返しているが、大学で経済学を学んだ人ならわかるように、
自由貿易と物価水準は関係ない。関税を撤廃すると下がるのは一般物価水準ではなく、
個々の財の相対価格(交易条件)である。交易条件の改善は消費者の利益になるので、自由貿易は望ましい。

授業ならこう説明すれば終わりだが、これで納得しない人が多いようなので、
具体的に考えてみよう。たとえばコメの国際価格は国内の約3倍だから、関
税を撤廃すると国内米の1/3ぐらいの価格のコメが輸入されるだろう。
それによってコメの価格は下がるが、貨幣量は変わらないので物価水準は変わらない。
このとき消費者はコメの価格が下がった分の所得で別の財を買うので総需要は変わらず、
デフレにもインフレにもならない。

三橋氏は「比較優位はインフレのときの理論だ」とかわけのわからないことを言っているが、
クルーグマンの例でもわかるように、比較優位の説明に貨幣は出てこない。
バラとコンピュータという実物ベースで考えているので、
物々交換でも比較優位は成り立つのだ。
いくら三橋氏や中野氏が経済学を知らなくても、貨幣のない経済でデフレが起こらないことぐらいわかるだろう。
追記:これ以外の非関税障壁についての細かい話は、決まっていない話を憶測する被害妄想。
http://news.livedoor.com/article/detail/6045745/

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